なぜマナー講師は謎ルールを作るのか?うさんくささの正体と対策

マナー講師
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マナー研修のしょうもなさにうんざりしているあなたへ

マナー研修を受けたあとの、あの独特な疲労感。あなたも経験があるはずです。

  • 「お辞儀の角度は30度」
  • 「ノックは2回だとトイレ、3回なら入室」
  • 「ハンコは上司にお辞儀をするように傾けて押す」

これらを聞いて「胡散臭い」と感じたあなたの感覚は正常です。

むしろ、優秀なビジネスパーソンとしての資質があります。なぜならあなたは「形式」ではなく「本質」を見ようとしているからです。

しかし現実は厳しい。会社はマナー講師を呼び、あなたは研修を受け、厳しい指導に耐えなければなりません。

なぜこれほどまでに現場の感覚とズレたマナーが横行するのか。その答えは、マナー業界の構造そのものにあります。

今日でそのモヤモヤを晴らしてしまいましょう。


マナーは「商品」である

まず大前提の話をします。多くのマナー講師にとって、マナーとは「相手への思いやり」である以前に「販売するための商品」です。

想像してみてください。

「相手が不快にならないように笑顔で挨拶しましょう」

これだけを教える研修に、企業が高いお金を払うでしょうか。答えはノーです。あまりにも当たり前すぎてありがたみがないからです。

そこで必要になるのが差別化です。他の講師と違うことを教えなければ仕事が取れません。

  • A講師「お辞儀は止まることが大切です」
  • B講師「お辞儀は角度の美しさが命です」
  • C講師「語先後礼(言葉が先、礼が後)こそ至高です」

こうして本来は不要だったはずの細かい動作が、さも「昔からの伝統」であるかのようにパッケージ化されます。これを経済学の視点で見ると、製品差別化の一種です。

機能(=相手への敬意)は同じなのに、デザイン(=動作のルール)を変えることで新しい価値があるように見せているのです。

謎マナーが増殖する理由はここにあります。

講師たちが生き残るために「新しいルール」を発明し続ける必要があるからです。


誰でも名乗れる「マナー講師」という職業

次に知っておくべきは資格の実態です。

医師や弁護士と違い、「マナー講師」になるために国家資格は必要ありません。明日から私が「カリスママナー講師」と名刺に刷れば、その瞬間に開業できます。

実際に「マナー講師になるには」などで検索すると分かります。

ヒットするのは民間のスクールや通信講座ばかり。1日数時間の講習で認定証がもらえるものもあれば、通信教育だけで完結するものもあります。

もちろん、徹底的な接遇を叩き込まれたプロフェッショナルたちは確かな基礎能力を持っています。彼女たちの教える研修は体系立っており説得力があります。

問題は、そうしたバックボーンを持たず数冊の本を読んだだけで独自の「トンデモ理論」を展開する自称講師たちです。

マナー講師

「マスクのマナー」や「オンライン会議の目線の位置」など、誰も正解を知らない領域に独自のルールを持ち込み、絶対的な正解として押し付ける。

これでは「うさんくさい」と言われても仕方がありません。

しかしこれを責めるのもまた違います。

参入障壁が低い業界では必然的に質にバラつきが出るからです。大事なのは、受講する側がその構造を知っておくことです。


怒りの正体は「認知的不協和」

なぜ私たちはマナー研修でイライラするのか。心理学的に言えば、認知的不協和が生じているからです。

「仕事で成果を出すために必要なのは合理的思考だ」というあなたの信念と、「非合理的でも言われた通りの動作をしろ」という講師の命令が脳内で衝突を起こします。

この矛盾が強烈なストレスになります。

特にスパルタ式の研修で人格否定に近い言葉を浴びせられたり、大声を出させられたりすると反発心(心理的リアクタンス)はピークに達します。

「心理的リアクタンス」とは?

「勉強しなさい」と言われると急にやる気が消えるアレです。人間は強制されると、自由を守るために無意識に猛反発するのです。

中には「マナー講師嫌い」どころか、憎しみすら抱く人もいるでしょう。

講師側にも事情があります。彼らが企業から求められている成果物は、「社員の行動が変わった」という目に見える変化です。

一番手っ取り早く変化を見せる方法は、大きな声を出させ極端な動作をさせること。

つまりあの厳しい指導は、企業担当者への「私はちゃんと仕事をしたのですよ」というアピールでもあるのです。


モヤモヤを消す最強の「スルー技術」

構造が分かれば対策は簡単です。マナー研修をビジネススキル習得の場だと思わないでください。

あれは「忍耐力テスト」というイベントであり、講師はエンターテイナーです。以下の3ステップで心を無にして乗り切りましょう。

俳優になりきる:感情労働

講師の前だけで構いません。ムカつくでしょうが、「素直で熱心な新人」という役を演じてください。

社会学者ホックシールドが提唱した「感情労働」の考え方です。

心を込めずとも、表面上の笑顔と返事さえ完璧なら講師はあなたに文句を言えません。

「はい!」「勉強になります!」と元気に返す。これはただの演技の練習です。あなたが自分に嘘をついているわけではない。それを忘れないでください。

頭の中で推しやソシャゲや夕飯のことを考えていてもまったく問題ないのです。

噴飯物のマナーをフィルタリングする

講師の話をすべて真に受ける必要はありません。

  • 「挨拶は重要」「相手の目を見る」といった普遍的な真理は採用
  • 「ノックの回数」などの枝葉末節は、研修室を出た瞬間にゴミ箱へ

取捨選択の権限は、あなたにあります。

「面白がる」視点を持つ

もしあまりに理不尽なことを言われたら、心の中で実況してください。

「出た!伝統と称した創作マナー!」
「おお、ここで精神論につなげる強引な展開!」

マナー実況

一歩引いて観察対象として見れば、不思議と面白い生き物に見えてきます。


最後に

マナーの語源は、ラテン語の「マヌス(手)」だという説があります。

相手に触れる手、あるいは武器を持っていないことを示す手。そこにあるのは「あなたを害しません」「大切に思っています」というシンプルなサインです。

いつ誰が決めたか分からない謎のルールに従うことがマナーではありません。

目の前の相手がどうすれば心地よく過ごせるか。それを自分の頭で考え行動に移すことだけが、真のマナーです。

次に謎のマナーに遭遇したら、心の中でこう呟いてください。

「なるほど、これがこの人のメシのタネか」

それだけで、あなたの職場でのストレスは劇的に減ることでしょう。

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